背景
お茶農家の高齢化、過疎化に伴い、人手不足が深刻であり、課題が多い。そのため、ドローンを用いて茶畑の管理可能性を検討中であるが、まずはその最初の一歩を踏み出してみようと思う。今回、MAVIC MINIを用いた主な理由としては、農家が扱いやすいからである。もうあまり取り扱っている店は少ないようだが、30,000円程度で購入できる手軽さは、魅力的である。その上、GSD(地上解像度)は1cm程度で計算できるという大きなメリットがある。その上で、お茶農家が一度で茶園の状態を把握することが可能になりうるのかを検証する。
目的
ドローンを用いて撮影した画像から一枚の画像として表示し、茶園の状態を把握すること
MAVIC MINIは、そもそも農業用のドローンではないため、圃場を観測できるように少しいじる必要はある。こんな感じの下向きで自動的にドローンで撮影をしたい。
準備するもの
- DJI MAVIC MINI
- microSDカード
- microSDカードアダプター
- MAVEN(iphoneアプリ)
- Pix4Dmapper
MAVENの設定
MAVENは、DJIのドローンを自動走行させるiphoneのアプリである。詳しい使い方は省くが、さまざまな動画がアップロードされているので、参照されたし。私が参考にしたのは、こちら。
さて、ここで気をつけるべきなのが、カメラを下向きにしないといけないという点。
「Waypoint Mission」の設定に、「Gimbal Pitch Angle」という項目があるが、そちらを「Manual (RC control)」に変更することが重要。これを設定しないと、コントローラーからカメラの向きを変えられない。
あとは、高さと進路に気をつけながら進路を設定する。
設定し終わったら、カメラ設定を行う。
自動撮影になるようにタイマー設定を行う。例えば「3秒に一回写真を撮影する」という風に、カメラの設定をする。
実際に撮影
まずは、ドローンとMAVENを起動して、二つを接続する。
「Waypoint」から、作成した「Waypoint mission」を選択する。
撮影場所の近くで周りに障害物がないことを確認し、ロケットマークを押すと、自動で飛行を始める。
この時に二つの注意点がある。
一つ目が、カメラを下に向けることで、二つ目がカメラタイマーを起動させること。
カメラの向きを下に向けるのは、コントローラーの持ち手の左側にあるダイヤルを回すことで動かせるので、とりあえず一番真下に向ける。
カメラタイマーは、カメラアイコンを押して、タイマーをセットしてスタートのポジションについた頃を見計らって、シャッターを押すと、設定した時間ごとにカメラが自動的にシャッターを切る。
Pix4Dmapperで解析・合成
さて、撮影したドローンの画像を一つの大きな画像にしたいと思う。これには、Pix4Dmapperを用いる。
pix4Dmapperは有料ソフトだが、契約している前提で進めていく。
また、ドローンで撮影したデータのSDカードとそのアダプターをPCに接続しておく。
新規プロジェクトの開始と合成開始
まずは、Pix4Dmapperを起動させ、新規プロジェクトを開始する。
その後、プロジェクトの保存先などを任意に指定し、保存する。
画像を選択する時は、PCに接続したSDカードから、撮影した一連の画像を選択する。
次に行ったら、処理オプションテンプレートを選択する。
こちらは、今回においてはそこまで気にしなくてもいいと思うが、標準の「3D Maps」を選択するのが、安牌かと思う。
処理を開始し、少し待つ。
終了すれば、さまざまなものが表示されているが、撮影した写真によって、モデルが作成されている。
こちらを見ると、またいろいろな情報が出てくるが、ここでは省略。
もし、問題があった場合は、こちらの資料を見て、修正等を行うとよい。
QGISにて合成画像の表示
Pix4Dmapperにて、処理が終わると、それによって合成された画像が作成される。
この画像はtiff画像となっているため、PCのデフォルトの写真ソフトでは表示できない時もある。
そこで、QGISで表示をすることで、画像を重ね合わせて表示させる。
QGISを使うことで、お茶農家にとっては、どこがどのように変化したのかを時系列で見るときにも役に立つかもしれない。
QGISを開く
こちらもQGISはインストールされているものとする。
まずは、QGISを開き、任意のプロジェクト(なければ新規のプロジェクト)を開く。
XYZタイルをgoogle衛星マップなどにするとわかりやすい。(方法はこちらなどを参照)
Pix4Dmapperの出力先フォルダからQGISで表示
Pix4Dmapperで出力された画像は、プロジェクトディレクトリ(ここではproject_directoryとする)からみて、「project_directory>3_dsm_ortho>2_mosaic」内にある。
その中にあるtifファイルが出力されたファイルで、これをQGISにドラックアンドドロップをして表示させると、大体の位置が調整された上で表示される。
これでQGISでドローンで撮影し、合成した画像を表示させることができる。
QGISでの位置合わせ
これでドローンの画像をQGISで表示できたわけだが、位置が微妙に合っていないということもある。そんな時は、QGISのツール「ジオリファレンサ」を使って、任意の点を衛星画像の点と合わせたり、国土地理院のシェープファイルを使って、位置合わせを行うとうまくいく。
終わりに
これで、画像は表示できたわけだが、このままでは、あまり意味がないような気がする。実際、お茶農家に見せたところで、少し驚くくらいで、実益には繋がらない。今回紹介した作業を経た上で、本当に意味のあるものにしていくのがこれからの課題である。